【家庭菜園のやさしい獣害対策】いろはに農園のキツネ・タヌキ・イタチ対策——

こんにちは、いろはに農園のいろはにです。
畑を大切に育てていると、ある日ふと、ミカンや柿の実がなくなっていたり、土が少し掘られていたり…。
そんな経験はありませんか?
今回は、いろはに農園で実際に取り入れている「やさしい防獣対策」をご紹介します。
“追い払う”のではなく、“寄せつけない”ための工夫。初心者の方でもすぐに取り組める方法を、丁寧にまとめました。
初心者でもできる防獣ネット設置
防獣ネットの基本と効果
最初の一歩は、畑のまわりをぐるりと囲む「防獣ネット」です。
コストと効果のバランスが良く、家庭菜園でも取り入れやすい方法です。
ネットを選ぶときは、動物の大きさに合わせた「目合い」と「強度」が大切。
キツネ・タヌキ・イタチ・ハクビシンなどの中型獣には、**細かめのメッシュ(約16mm前後)**が安心です。
ネットの選び方
項目 | 推奨仕様 | ポイント |
---|---|---|
目合い | 1.6cm前後 | 小動物も通しにくい。 |
高さ | 1.2m以上 (おすすめは1.5m) | ジャンプやよじ登りを防ぎやすい。 |
材質 | ポリエチレン 金属メッシュ | ポリエチレンは軽くて扱いやすい。 長期設置なら金属も有効。 |
あると安心な資材
- ネット本体(例:16mmクラス・長さは周囲+予備)
- 支柱(2m前後を約2m間隔で。コーナーは強めに)
- 固定具(パッカー/結束バンド/Uピン/ペグ)
- 出入口用のヒモ・フック(開閉時に隙間が生まれない工夫が肝心)
- 地際対策用(Uピンで“浮き”を抑える)
防獣ネット設置の手順
まずは畑の外周をぐるりと一周し、ネットを張るルートを決めます。
草が茂っているとネットが密着しにくく、隙間の原因になります。
支柱は2m前後のものを2m間隔で立てます。
角の部分や出入口は動きが多く、力が加わりやすいので、太めの支柱を使うか斜めに補強しましょう。
ネットを上部の支柱に仮留めして全体の位置を確認します。
一周ぐるっと軽く掛けるだけでOKです。
ネットが地面に触れるくらいの高さにしておくと、あとで隙間ができにくくなります。
地際の隙間は、動物にとって「最も狙われやすい場所」です。
ネットの下端を10〜20cmほど埋めるか、外側に折り返してUピンで固定します。
畑の出入りがしやすい場所に必要最小限の出入口を作ります。
ネット全体の張り具合を整えます。
上部はロープを通して軽く引きながら固定し、下部はUピンでしっかり地面に押さえます。
ピンと張りすぎず、少したるみを残すくらいが最適です。
丁寧に仕上げると、見た目もきれいで長持ちする防獣ネットになります。
とくに「地際」と「出入口」を意識するだけで、効果がぐんと高まりますよ。
よくある失敗と解決法
- 支柱が傾く・ネットの形が歪む
-
原因:支柱間隔が広すぎる、地面が柔らかい、角やコーナーの補強が不十分。
対策:支柱は2m前後間隔で立て、角は太めの支柱や斜め補強で固定する。支柱を少し外向きに傾けてネットのテンションを安定させる。
- 網目をすり抜けられる
-
原因:動物の大きさに対して網目が粗すぎる。小型〜中型獣(タヌキ・ハクビシンなど)は16mm前後でも安心。
対策:目合い16mm前後の細かいネットに交換する。小動物が侵入する場合はさらに目合いを細かくする。
- 動物がジャンプして越える/乗っかる
-
原因:ネットの高さが低い、支柱の強度不足。
対策:高さ1.2〜1.5mを目安に設定し、ジャンプ力のある動物対策には角に斜め支柱で傾斜をつける。
ネット以外の補助策
センサーライト
夜行性の来訪に対し、人感点灯で“落ち着かない場所”に。音が鳴るタイプは抑止力が上がります。防犯の観点からも害獣対策に有効と案内されています。
人の気配づくり
タヌキやキツネなどは、人のにおいや動きをとてもよく感じ取ります。
そこで、畑に人の気配を少し残しておくだけでも、近寄りにくくなるんです。
軍手や帽子を掛ける
作業で使った軍手や帽子を杭に掛けておくと、人のにおいが残りやすく効果的。
洗わずにそのまま掛けておくのがポイントです。
雨に濡れてにおいが薄くなったら、別のものと交換しましょう。
こまめに見回る
朝や夕方など、1日1回でも畑を見て回ると、人の出入りがあると動物に感じさせることができます。
足跡や荒らされた跡を見つけたら、すぐに対応できるのも安心です。
片づけと草刈り(環境整備)
堆肥置き場やコンポストはしっかりフタを閉め、食材・残飯・ペットフードなどは屋外に放置しないようにしましょう。
畑の周囲は草丈を控えめにして、動物が身を隠せる茂みを減らすのが基本です。
見通しが良くなるだけで、動物にとっては落ち着かない場所になります。
落果・食べ残しはその日のうちに片づける
落ちた実やかじられた野菜を放っておくと、動物のエサ場になってしまいます。
畝の端にまとめて置くのも避けて、その日のうちに片づける習慣をつけましょう。
小さなにおいの積み重ねが、夜の訪問者を呼び寄せてしまうこともあります。
収穫は早めに
完熟した果実を長く放置すると、夜間の標的になってしまうことがあります。
食べ頃を迎えたらできるだけ早めに収穫し、動物に「ここはエサがある場所」と覚えられないようにしましょう。
【家庭菜園でできる】動物別のやさしい防護対策
動物 | 特徴 | 家庭菜園での簡単対策 |
---|---|---|
キツネ | 土中のミミズや小動物を求めて掘ることがある | ネットの下を浅く埋める/外側にL字折り返しで地際を固定 |
タヌキ | 雑食で落果や残渣を好む | 落果・残渣をすぐ片づける。1.2m級ネット+地際ふさぎで通り道防止 |
イタチ | 細身で隙間から入りやすい | 細かめの目合い(約16mm)のネットを使用。地際の浮きは放置しない |
クマ | 果樹やハチミツ、トウモロコシなどの甘い香りを好む | 生ごみ・果樹・蜜源を屋外に放置しない。センサーライト設置+自治体への通報を |
キツネ:夜間に静かに来るので、見回りとセンサーライトが効果的。
タヌキ:残渣のにおいを覚えやすいので、片づけ習慣が一番の予防。
イタチ:体が細く意外な隙間から入るため、地際の“たるみ”を見逃さないこと。
クマ:甘いにおいを残さないことが最優先。見かけたら決して近づかず、通報を。
まとめ——やさしく囲って、寄せない暮らし
家庭菜園での獣害対策は、強引に追い払うのではなく「通りにくい場所」と静かに伝えることが大切です。いろはに農園では、まずネットで畑を囲み、センサーライトで夜の通行を控えてもらい、落果や残渣の片づけで「ごはんはここにないよ」とやさしく知らせています。さらに果樹の幹ガードで登攀ルートを断つことで、家族にも動物にも穏やかな環境を守ります。
この運用を続けるうえで、定期的な点検も大切です。
- ネットの下が浮いていないか
- 出入口の二重カーテンがしっかり機能しているか
- 角や風当たりの強い場所にたるみが出ていないか
- センサーライトが正常に点灯するか
- 落果や食べ残し、堆肥のフタは整理されているか
- 近道になりそうな隙間がないか
これらを週に一度チェックすることで、ネットやライトの効果を維持し、獣たちに無理なく「ここには来にくい」と学習してもらえます。