【初心者でも安心!家庭菜園で楽しむ】小豆(アズキ)栽培ガイド

はじめに
小豆(アズキ)は、赤飯やお汁粉に使われる、香ばしく甘みのある伝統的な豆。
実はこのアズキ、家庭菜園でも手軽に育てられる作物なんです。
タネまきから収穫まではおよそ3〜4ヶ月と比較的短く、手間も少なめ。
初心者の方でもコツを押さえれば、自家製のアズキを収穫して、おいしい自家製あんこや煮豆を楽しむことができます。
この記事では、東海地方の海沿い地域に合った育て方を中心に、品種選びから土づくり、タネまき、収穫までをやさしくご紹介します。
気候と品種選び
生育適温とタネのタイプ
アズキの生育には、**昼夜の平均気温が20〜25℃**が理想です。気温の傾向によって、タネの品種は以下の3つのタイプから選ぶことができます。
夏アズキ型
- タネまき:4〜5月/収穫:8〜9月
- 全国的に栽培できる定番タイプ。寒冷地にも向きます。
- 秋アズキ型(タネまき:6〜7月/収穫:9〜11月)
気温の高い西日本向け。夏の暑さに強いのが特長。
秋アズキ型
- タネまき:6〜7月/収穫:9〜11月
- 気温の高い西日本向け。夏の暑さに強いのが特長。
土づくりと畝(うね)づくり
アズキは肥料が少なくても育ちやすいマメ科の植物です。とはいえ、基本の土づくりを丁寧に行えば、さらに元気に育ちます。
土壌の条件
- 水はけがよく、保水性もある土が理想。
- pHは6.0前後。酸性土壌の場合は石灰で中和しておきましょう。
- 元肥として、堆肥・化成肥料・苦土石灰をそれぞれ100g/m²程度施し、タネまきの2週間前までに耕しておきます。
畝づくり(露地栽培の場合)

- 幅70〜80cm・高さ10〜15cmの平畝が基本。
- 雨水が溜まりにくいよう、排水を意識したレイアウトにしましょう。
タネまきと育苗の方法
タネまきの時期
- 夏アズキ型:4〜5月上旬
- 秋アズキ型:6月中旬〜7月中旬
タネは1〜2日前に水に一晩浸しておくと、発芽がそろいやすくなります。
タネまきの方法
アズキは**根をいじられるのを嫌う「直根性」**の作物。根がまっすぐ伸びることで元気に育つため、**直播き(じかまき)**が一番おすすめです。
直播きの手順

▶1か所に3〜4粒ずつ、深さ3〜4cm

▶- 株間(株と株の間の距離)は約30cm
- 条間(列と列の間の距離)は40〜70cm

▶タネをまいた後は土を軽くかぶせ
(覆土)、たっぷりと水をあげましょう。
芽が出るまでは鳥にタネを食べられてしまうことがあります。
不織布や防鳥ネットをかぶせて、鳥から守ってあげましょう。
芽がしっかり出てから外しても大丈夫です。
ポットまきが向いているケース
- まだ寒い時期(4月上旬など)
- 発芽の様子を観察したいとき
3号ポットに2粒ずつまき、本葉が4〜5枚になったら、根を崩さずに丁寧に植え替えましょう。
いろはに農園ではどちらも挑戦するのがオススメ
いろはに農園では、「ポットまき」と「直播き」の両方に挑戦する方法をおすすめしています。これは、初心者の方でも失敗が少なく、安定して収穫を目指せる育て方です。
まずはまだ肌寒い時期に、ポリポットなどを使ってポットまきによる育苗を始めます。室内やビニールトンネルの中など、温度管理がしやすい場所で、じっくり苗を育てていきます。
そして、気温が安定して暖かくなってきた頃に**直播き(地面への直接まき)**も同時にスタートします。
ここでポイントなのが、その後の苗の活用方法です。
こうすることで、どの植え穴にもアズキを育てることができ、スペースを無駄にしません。また、発芽のリスクも分散できるので、収穫までの確率がぐんと高まります。
家庭菜園ならではの工夫と柔軟さで、アズキ栽培をもっと楽しんでみてくださいね。
栽培中のお世話とポイント
間引きと支柱
- 基本的に間引きは不要ですが、混み合うようであれば1〜2本に整理。
- 本葉が4〜5枚になったら、支柱やネットで支えてあげましょう。
土寄せと培土
- 8月ごろになると株元がぐらつきやすくなります。
- 根元に軽く土を寄せることで倒伏防止になります。
水やり
- 地植えの場合、定着後は基本的に不要。乾燥しすぎる場合のみ対応。
- 鉢やプランターでは、土が乾いたらたっぷりと水やりを。
- 暑い日の朝か夕方に行うのがポイントです。
肥料と追肥の注意点
アズキはマメ科特有の窒素固定能力があるため、元肥のみで十分に育ちます。
ただし、成長が鈍くなったり、葉の色が薄い場合は…
- 花が咲く頃に、ぼかし肥や薄めた液肥をほんの少量与えてください。
病害虫対策と鳥よけ
よくある病気
- 落葉病・萎凋病・茎疫病など
→ 水はけを良くし、発病葉は早めに除去。
害虫の例
- スズメガの幼虫:葉を食べる → 見つけたら手で捕殺
- アズキノメイガ:さやの中の豆を食害 → さやごと除去、防虫ネットで予防
- カメムシ・ハダニ・アブラムシなど:必要に応じて登録農薬や粘着テープで対応
鳥害対策
- 実が色づき始めたら、反射テープや不織布で覆って守りましょう。
収穫と保存方法
収穫の目安
- タネまきから約3.5ヶ月後
- さやが茶色く乾燥してきたら収穫適期
- 若いさやを収穫すれば、やわらかい青豆としても楽しめます
脱粒と保存
- 手摘みで収穫し、しっかり乾燥させます
- 手でさやをもみほぐすか、足で軽く踏んで脱粒
- しっかり乾かしたら、瓶や密閉容器に入れて冷暗所へ
小豆栽培の注意点
小豆(アズキ)は連作障害が起きやすいマメ科の植物ですので、作付けの順番や相性のよい作物を知っておくことはとても大切です。
以下に、小豆のあとに作るとよい作物/悪い作物、相性のよい・悪いコンパニオンプランツについて丁寧にご説明いたします。
小豆を植える前におすすめの作物(前作)
小豆の前作には、根を深く張る作物や、非マメ科の作物が向いています。
作物 | 理由 |
---|---|
キャベツ、ブロッコリー(アブラナ科) | 根張りが浅く、小豆と栄養バランスが異なる |
ジャガイモ | 土を深く耕し、排水性を改善してくれる |
タマネギ、ニンニク(ヒガンバナ科) | 土壌病害の抑制効果があり、小豆の連作障害を軽減 |
トウモロコシ | 病害虫が異なるため連作障害の回避に役立つ |
小豆の後におすすめの作物(後作)
小豆は根に共生する根粒菌の働きで窒素を土に残します。このため、小豆のあとには葉物野菜や果菜類など、窒素を多く必要とする作物がよく育ちます。
作物 | 理由 |
---|---|
ホウレンソウ、コマツナ | 肥料分が活かせ、成長がよくなる |
トマト、ピーマン、ナス(ナス科) | 小豆のあとに入れると初期成育が良好 |
ダイコン(アブラナ科) | 土壌に残った肥料を利用しやすく、病害虫も異なる |
小豆と連作・混植NGな作物
マメ科(同じグループ)の連作は絶対に避けましょう。
作物 | 理由 |
---|---|
インゲン、エダマメ、ソラマメ、ダイズ | 根粒菌や同じ病害により連作障害が起きやすい |
小豆と相性の悪い混植(コンパニオンプランツ)
作物 | 理由 |
---|---|
ニンジン | 小豆と生育環境が合わず、互いの成長を妨げる |
ネギ、ニラ | アリル化合物が根粒菌の働きを抑える恐れあり |
小豆と相性のよい混植(コンパニオンプランツ)
作物・花 | 相性ポイント |
---|---|
トウモロコシ | 支柱代わりになり、日陰も提供してくれる |
ダイコン | 土中の虫を避ける効果あり。小豆の根張りを助ける |
マリーゴールド | 根から分泌される成分で線虫を抑制。病害予防になる |
シソ | 害虫よけになり、小豆に悪影響を与えない |
まとめ:家庭菜園でアズキを育てる喜び
ステップ | ポイント |
---|---|
品種選び | 気候に合った「夏型・秋型」を選ぶ |
タネまき | 気温と湿度に気をつけて丁寧に |
支柱・土寄せ | 株を支えて倒れにくくする |
病害虫対策 | 毎日の観察と早期対応が大切 |
収穫と保存 | 適期を逃さず収穫、乾燥・脱粒で長期保存へ |
アズキは、育てやすくて可愛らしい花も咲く、家庭菜園にぴったりの作物です。栽培を通して、季節のうつろいと共に、自然と暮らしがつながる喜びを感じてみませんか?
娘さんや奥さまと一緒に育てれば、収穫のときにはきっと笑顔がこぼれるはず。手間をかけて育てたアズキで、おいしいお赤飯や自家製あんこを楽しんでくださいね。