【家庭菜園で気をつけたい】アブラムシの被害とその対策
春の陽ざしに誘われて、草花やお野菜が元気に育ちはじめる頃。
そのやわらかな葉の裏に、そっと姿を見せるのがアブラムシです。
とても小さな虫ですが、放っておくとお野菜に元気がなくなってしまうことも…。
今回は、そんなアブラムシの被害とやさしい対策についてご紹介いたします。
アブラムシってどんな虫?
アブラムシは、体長が1mmほどのとても小さな虫です。
新しく伸びてきたやわらかい葉や芽が大好きで、そこに集まって植物の汁を吸ってしまいます。
そのままにしておくと、葉がしおれたり、野菜の元気がなくなってしまうことも…。
また、アブラムシは病気を運ぶこともあり、ウイルス病の原因になることもあるんです。
小さな虫ですが、お野菜にとってはとても厄介な存在。だからこそ、早めに見つけて、やさしく対策をしてあげることが大切なんですね。
被害の特徴
アブラムシはとても小さな虫ですが、植物にさまざまな悪影響をもたらします。
特に「葉の様子」や「ベタつき」など、目に見える変化があったら、アブラムシの被害を疑ってみましょう。
目に見える変化
- 葉がちぢれたり、変色したりします。
- 葉や茎がベタつく場合、それはアブラムシの排せつ物「甘露(かんろ)」の可能性があります。
- この甘露が原因で「すす病」と呼ばれる黒カビが発生することもあります。
ウイルス病の媒介
- アブラムシは「モザイク病」などのウイルスを運ぶことがあります。
- 感染すると、葉に斑点や縮れが出たり、実の形がいびつになったりします。
見つけやすい場所
- 新芽や葉の裏、茎の分かれ目に集まっていることが多いです。
- ベタつきや葉の黒ずみもサインです。
発生しやすい環境
アブラムシは、暖かくて風の通りが悪い場所を好みます。特に春から初夏にかけて気温が上がると、一気に数を増やします。
また、肥料を多く与えすぎると要注意です。柔らかい新芽がたくさん出ると、アブラムシがその部分を狙って集まってきます。
肥料はほどほどにし、株の間隔をあけて風通しを良くしておくのがポイントです。
さらに、プランターの裏や株元の雑草も発生源になりやすい場所。見えないところで繁殖していることがあるので、こまめに掃除して清潔に保ちましょう。
被害を受けやすい作物について
アブラムシはさまざまな作物に被害をもたらしますが、特に以下の作物では発生しやすく注意が必要です。
| 作物名 | 主なアブラムシの種類 | 被害の様子 |
|---|---|---|
| ミズナ | ニセダイコンアブラムシ | 葉に群生し、変形や縮れを引き起こす |
| インゲンマメ | マメアブラムシ(黒色) | 葉や茎に付着し、生育を妨げる |
| トウモロコシ | ムギクビレアブラムシ | 葉の裏に付着、成長阻害 |
| ゴボウ | ゴボウヒゲナガアブラムシ | 葉や茎に吸汁し、弱らせる |
| モモ | モモアカアブラムシ | 新芽を加害し、縮れや変色を招く |
| イチゴ | ワタアブラムシ | 群生して葉や茎に付着、すす病の原因 |
| シシトウ | ワタアブラムシ | 葉裏に付着し、変形・枯れの原因に |



対策方法
アブラムシ対策は、「寄せつけない」「増やさない」「除去する」の3つがポイントになります。
手で拭き取る・水で洗い流す
少量であれば、湿らせたティッシュや手袋でやさしく拭き取るのが一番安全です。
また、霧吹きやジョウロで強めの水をかけて洗い流すのも効果的。ただし、葉が柔らかいバジルやレタスなどは傷つけないように注意しましょう。
生物的な対策
- 天敵に助けてもらう
テントウムシやヒラタアブの幼虫など、アブラムシを食べてくれる益虫たちを味方につけましょう。彼らを呼び寄せるために、マリーゴールドなどの花を植えるのも効果的です。



牛乳スプレーを使う
昔から知られる自然派の方法です。
牛乳をそのままスプレーボトルに入れて、アブラムシに直接吹きかけます。
乾くと膜ができ、アブラムシの呼吸を妨げて駆除できます。
【牛乳スプレーの作り方】
- 牛乳:100ml
- 水:100ml
- よく混ぜて使用(スプレー後は2〜3時間で洗い流す)
ただし、高温時に残すと葉が変色することがあるので、曇りの日や朝夕の涼しい時間に行いましょう。
お酢スプレーで防除
お酢の酸性成分はアブラムシにとって刺激があり、忌避効果があります。
食品由来なので、食べる野菜やハーブにも安心です。
【自家製お酢スプレーの作り方】
- お酢:100ml
- 水:900ml
- 台所用中性洗剤:1滴
よく混ぜて、葉の裏にもまんべんなく吹きかけます。お酢の匂いは数時間で消えるので、安心して使用できます。
いろはに農園では、市販の「やさお酢」を活用しています。食品由来の農薬で、家庭菜園でも安全性が高いのが魅力です。
木酢液やニームオイルを使う
自然素材から作られた防除剤もおすすめです。
木酢液には防虫・殺菌効果があり、薄めて散布することでアブラムシを寄せつけにくくします。
また、ニームオイル(インドセンダンの種から抽出)には、害虫の食欲を減退させる働きがあります。
強い匂いが苦手な方は、お酢スプレーとの併用も良いでしょう。
まとめ
アブラムシは目立たない存在ながら、さまざまな被害をもたらす困りものです。
日頃からの観察と、小さな変化への気づきが、野菜たちを守る一番の近道です。
防虫ネットや天敵の活用など、自然に寄り添った対策を心がけながら、
大切なお野菜をすこやかに育ててまいりましょう。
