野菜の育て方

【初心者でも安心!】秋じゃがいも栽培ガイド〜タネイモは切らないで〜

おばあちゃんとじゃがいものタネイモの準備している風景
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こんにちは、いろはに農園です。
秋の畑では、いよいよ「秋じゃがいも」の準備が始まります。

春じゃがとは違い、秋じゃがはほくほく感が増し、冬の食卓を彩ってくれる頼もしい存在です。

この記事では、タネイモの扱いから収穫・保存まで、家庭菜園初心者の方でも安心して取り組めるよう、秋じゃがいも栽培のポイントをわかりやすくまとめました。

じゃがいもってどんな野菜?

基本情報と特徴

  • 科目:ナス科
  • 栽培スタート:タネイモから(種子ではなく塊茎を植え付けます)
  • 生育適温:15〜20℃(涼しい気候を好みます)
  • 適した土壌pH:5.5〜6.0(やや酸性の土壌を好む)
  • 連作障害:強い(同じ場所では4〜5年あけるのが望ましい)

秋じゃがいもの魅力

春じゃがと比べて、秋じゃがにはこんな魅力があります。

  • 貯蔵性が高い:芽が出にくく、冬の間も保存しやすい
  • ほくほく感が増す:でんぷん価が高まり、煮物やコロッケにぴったり
  • 家庭菜園で挑戦しやすい:春よりも病気が出にくい年もあり、初心者にもおすすめ

秋じゃがいも栽培のスケジュール

作業時期の目安ポイント
土づくり8月下旬〜9月上旬石灰をまき、堆肥をすき込み、土をよく耕す。高畝にして排水性を高める。
タネイモの準備9月上旬小さめのタネイモをそのまま使用。大きい場合は芽の数を見て切り分け、日陰で乾かす。
植え付け9月上旬〜中旬深さ10cm程度、株間25〜30cm、条間60cmを目安に植え付け。切ったイモは草木灰をまぶすと腐敗予防に。
芽かき10月上旬芽が10cmほどに育ったら、強い芽を1〜2本残し、他は取り除く。
土寄せ・追肥10月上旬〜中旬芽かき後に土寄せ。化成肥料や有機肥料を株元に施し、さらに2〜3週間後に2回目の土寄せを行う。
収穫11月下旬〜12月上旬茎葉が黄色く枯れ始めたら収穫。霜が降りる前に掘り上げる。

秋じゃがいもにおすすめの品種

秋作に向くじゃがいもは、休眠期間が短く芽が出やすい品種です。

春じゃがいもで人気の品種でも、休眠が長いタイプは秋に植えても発芽が遅れたり、不ぞろいになってしまいます。

そこで、秋じゃがいもに安心して挑戦できる「初心者向けおすすめ3品種」をご紹介します。

デジマ(早生・定番の秋じゃが)

特徴:秋じゃがいもといえばまず名前があがる定番品種。生育が早く、比較的短期間で収穫できます。

食味:ホクホクとした食感。煮物・揚げ物・蒸し料理など幅広く使えます。

ポイント

秋作で失敗しにくく、収穫量も安定しやすい。初めて秋じゃがを育てる方に安心の品種です。

ニシユタカ(煮物向き・粘質で崩れにくい)

特徴:病気にも比較的強いのが魅力。粘質でしっとりとした肉質です。

食味:煮崩れしにくいため、肉じゃがやカレーなど煮込み料理にぴったり。

ポイント

煮物好きなご家庭におすすめ。育てやすく味の安定感もあり、秋じゃが栽培で人気があります。

アンデスレッド(甘みが強くてカラフル)

特徴:赤い皮に黄色い肉質が特徴的で、見た目にも楽しめる品種。

食味:ホクホクして甘みが強い。コロッケやポテトサラダにすると、ほんのり甘みが感じられてとても美味しいです。

ポイント

収穫したときの見た目が華やかで、料理の彩りにもなる。家庭菜園で「育てて楽しい・食べて美味しい」品種です。

まとめ

品種特徴向いている料理
デジマ生育が早く、定番の秋じゃが。育てやすい。煮物・揚げ物・蒸し料理
ニシユタカ粘質で煮崩れしにくい。病気に強め。肉じゃが・カレーなど煮込み料理
アンデスレッド赤皮と黄色い肉質。甘みが強い。コロッケ・ポテトサラダ

土づくりの基本

step1『作付けの2〜3週間前』
酸性度(pH)調整

pH5.5〜6.0の弱酸性を好みます。

極端に酸性やアルカリ性に傾くと生育不良や病気(そうか病など)が出やすくなります。

注意点

アルカリ性の場合は注意が必要で、基本的に石灰は施さないのが鉄則です。

step2『作付けの2〜3週間前』
堆肥投入

根菜類の中でも土壌環境の影響を強く受けます。

土をやわらかくし、団粒構造を整えるために 完熟堆肥を1㎡あたり2kg程度 すき込みます。

step3『作付けの1週間前』
元肥投入

堆肥とよく混ぜ込み、畝全体に均一に行き渡らせます。

化成肥料の目安:1㎡あたり100g程度(例:N:P:K = 6:8:12など)

ポイント

窒素が多いとつるぼけしやすく、イモが太りません。

元肥はリン酸・カリを多め、窒素は控えめに与えるのがポイントです。

step4『作付け直前』
畝立て

根が浅めに広がるため、 排水性の良い畝づくり が大切です。

  • 畝幅:60〜70cm
  • 高さ:15〜20cm(高畝がおすすめ。水はけが良く病気予防に)
  • 株間:25〜30cm

植え付け方法

タネイモの準備

小さめのイモ(20〜60g)を丸ごと使うのがおすすめです。

丸ごと植えることで、切り口からの腐敗を防ぎ、発芽率が安定します。

大きいイモの場合は、株数を増やすために切り分けることも可能ですが、その際は必ず 切り口を日陰で乾かし、草木灰をまぶして消毒 します。

注意点

タネイモはなぜ切らない方がよいのか

  • 切ると切り口から 菌が侵入しやすく、腐敗しやすい
  • 発芽までの水分や養分が切り口に逃げ、 芽の成長が不均一 になる

なるべく小さなタネイモを丸ごと使うのが、オススメです。

植え付け手順

植え溝を掘る

畝の中央に深さ5〜8cmほどの溝を作ります。株間は30cmが目安です。

元肥を入れる

溝の底に少量の元肥をまき、土を軽くかぶせておきます。

タネイモを置く
じゃがいもの置き方

芽を上に向けて、または切り口を下にして、30cm間隔で並べます。

土をかぶせる
じゃがいもの植え付け後

上から5〜8cmほど土をかけて、やさしく押さえます。
乾燥しているときは、最初にたっぷり水をあげてください。

マルチや敷き藁をする

地温を保つため、黒マルチや敷き藁を使うのもおすすめです。
乾燥や害虫から守ってくれますよ。

秋じゃがいものお世話

芽かき

じゃがいもの芽かき前
芽かき前
じゃがいもの芽かき後
芽かき後

タネイモから複数の芽が出ますが、そのままにしておくと イモの数は増えても大きさが小さくなる ことがあります。

  • 芽が 10cmほどに伸びたら、1株につき 強い芽を1〜2本だけ残す のが基本です。
  • 残す芽は まっすぐ元気なもの を選ぶと、イモが均等に育ちやすくなります。
  • 弱い芽や曲がった芽は取り除きましょう。これが「芽かき」です。

土寄せ

ジャガイモは土の中で育つため、光に当たると緑化 してしまいます。

  • 草丈が 15cmほどに育ったら1回目の土寄せ を行います。
  • さらに 2〜3週間後に2回目の土寄せ を行い、イモが光に当たらないよう高めに土を寄せます。
  • 土寄せをすることで、株の安定にもつながり、倒伏や病気の予防にもなります。

追肥

  • 土寄せのタイミングで 必要に応じて追肥 を行います。
  • 株元のすぐ近くではなく、少し離した場所に軽くまくことで、 根やイモを傷めずに栄養を与える ことができます。

病害虫・トラブル対策

秋じゃがいも栽培で特に注意したい病害虫は、そうか病・モザイク病・ヨトウムシ・コガネムシの幼虫 です。

そうか病

そうか病のジャガイモの写真
そうか病の様子

長雨や湿気が続くと、茎葉やイモに発生しやすくなります。

  • 株間を広めにとり、風通しを良くすることが基本です。
  • 必要に応じて、家庭菜園用の予防薬剤を使用すると安心です。
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モザイク病

じゃがいものモザイク病の症状
葉がモザイク病にかかった様子

ウイルス感染によって葉がまだら模様に変色する病気で、アブラムシが媒介します。

  • アブラムシを早期に駆除することが大切です。
  • 感染株は取り除き、畑を清潔に保つことで拡大を防ぎます。

収穫のタイミングとポイント

  • 茎葉が黄色く枯れてきたら収穫の合図
  • 試し掘りして、皮がこすれても剥がれにくければ完熟。
  • 晴れた日に掘り、傷をつけないよう外側からスコップを差し込みます。

秋じゃがいもQ&A

Q
Q1:タネイモが腐ってしまいました。どうすれば良いですか?

A1:再度タネイモを購入して植えるしかありません。

Q
Q2:イモが小さい・育ちが悪いです。どうしたら良いですか?

A2:芽かき不足や追肥の与えすぎが原因になることがあります。芽を1〜2本に絞り、追肥は適量に調整しましょう。

Q
Q3:イモが緑色になってしまいました。原因と対策は?

A3:土寄せが不十分でイモが光に当たると緑化します。こまめに土寄せしてイモを覆い、光に当たらないようにしましょう。

まとめ

秋じゃがいもは、切らずに植える・芽を1本に絞る・水はけを良くするという3つを意識すれば、大きな失敗を防げます。

収穫したじゃがいもは冬の食卓を支えてくれる頼もしい存在。

煮物やシチュー、コロッケやポテトサラダなど、家族の笑顔をつなげてくれます。

どうぞ皆さまも、秋の畑でじゃがいも作りを楽しんでみてくださいね。

ABOUT ME
いろはに農園
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駆け出しブロガー
野菜栽培歴4年(2021年~)の30代専業主婦。 おばあちゃんの畑(約400㎡)を借り、家族で家庭菜園を楽しむ主婦です。トマト、タマネギ、ダイコンなどを中心に栽培し、育て方を発信しています。
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