【家庭菜園で気をつけたい】炭疽病(たんそびょう)の症状とその対策

家庭菜園で野菜を育てていると、ある日葉や果実に黒い斑点が現れ、枯れてしまうことがあります。
そんなときは「炭疽病(たんそびょう)」を疑ってみましょう。
炭疽病は、カビ(糸状菌)が原因で、トマトやキュウリ、スイカなどさまざまな野菜に被害をもたらす厄介な病気です。
今回は、炭疽病の症状や原因、さらに「予防」と「対策(治療)」を分けて詳しく解説します。
炭疽病の症状と原因

炭疽病の症状
- 葉:初めは小さな黒褐色の斑点が現れ、中心部が淡褐色、周囲が黒い輪のように縁取られるのが特徴。進行すると葉が黄変して枯れます。
- 茎:黒褐色の病斑ができ、ひどくなると茎が腐って折れやすくなります。
- 果実:黒い病斑が拡大して果実全体が腐敗することもあります。
炭疽病が発生しやすい条件
- 高温多湿(25~30℃、湿度が高い環境)
- 雨や水やりで葉が濡れたままの状態
- 密植による風通しの悪さ
炭疽病にかかりやすい野菜一覧
科名 | 野菜名 |
---|---|
ウリ科 | キュウリ、カボチャ、スイカ |
マメ科 | エダマメ |
アブラナ科 | ダイコン、カブ、コマツナ、チンゲンサイ |
ヒユ科 | ホウレンソウ |
ヒガンバナ科 | ネギ |
ユリ科 | タマネギ |
ナス科 | トマト |
バラ科 | イチゴ |
いろはに農園の炭疽病トラブル
いろはに農園でも、スイカの苗が炭疽病にかかってしまったことがありました。
最初は葉が順調に育っているように見えたのですが、ある日、黒い斑点がぽつぽつと現れ、あっという間に広がってしまったのです。
慌ててインターネットで調べ、まずダコニール1000を勧められ、すぐに散布しました。

ところが、園芸店の店員さんから「ダコニール1000は予防には効果的ですが、発症後の治療には向かないですよ」と教えていただきました。
そこで、今の状態なら「**トップジンM(水和剤)**が良いですよ」とすすめられ、実際に散布してみると症状の進行が止まり、苗が元気を取り戻してくれたのです。
さらに「**トップジンM(水和剤)**だけでなく、アグラー(展着剤)を一緒に使うと、
より農薬の効果を最大限に引き出せますよ」とのアドバイスもいただきました。
この経験から、炭疽病は予防と治療で薬剤をしっかり使い分けることが大切だと学びました。


炭疽病の予防方法
ここからは、炭疽病を未然に防ぐためのポイントを詳しく解説します。
風通しを良くする
苗を植える際は、株間を十分にとって密植を避けましょう。込み合った葉は適度に剪定し、風通しを確保して湿気がこもらないようにします。
早朝の水やり
水やりは朝のうちに済ませ、日中の乾燥で葉を早く乾かすようにします。夜間に葉が濡れたままだと、炭疽病の菌が繁殖しやすくなります。
耐病性品種を選ぶ
種苗会社のカタログや園芸店で「耐病性」と書かれたタネを選ぶことで、病気の発生リスクを減らせます。
連作を避ける
同じ場所に同じ科の野菜を毎年育てると、土壌中の病原菌が増えてしまいます。少なくとも1〜2年は違う作物を育て、輪作を心がけましょう。
ダコニール1000の予防散布
いろはに農園でも使用したダコニール1000は、炭疽病の予防薬としてとても有効です。
この薬剤は葉や果実の表面に膜を作り、カビの胞子が付着しても発芽できないようにブロックします。
雨や水やりにも比較的流れにくいので、広範囲の病気予防に適しています。
炭疽病の対策(治療)
もし炭疽病が出てしまった場合は、できるだけ早く治療を始めることが大切です。
病気の部分を取り除く
発症した葉や果実を早めに取り除き、病気の拡大を防ぎます。取り除いた部分は畑に放置せず、ビニール袋に入れて処分します。

大切に育てていたスイカの苗が炭疽病にかかってしまい、特に症状の重いものは泣く泣く引き抜いて廃棄しました…。
大事にしていた苗だったので本当に残念です。
トップジンM(水和剤)の使用
いろはに農園でも使った**トップジンM(水和剤)**は、炭疽病の治療効果が期待できる薬剤です。
この薬剤は葉や茎の内部に浸透し、菌の増殖を抑える働きがあります。
症状が現れた初期の段階で散布すると、病気の進行を止める効果が高いです。
また、トップジンMには予防効果もあるため、治療後も数回散布を続けると安心です。
ただし、使用する際は、ラベルの使用方法や散布間隔をしっかり守り、耐性菌が出ないように注意しましょう。
販売会社 | 製品名 | 主な特徴 | 成分(濃度) | 備考 |
---|---|---|---|---|
日本曹達株式会社 | トップジンM水和剤 | プロ用粉剤、水和剤 | チオファネート メチル 70% | 約90作物・180病害に登録 |
クミアイ化学工業株式会社 | クミアイトップジンM水和剤 | 日本曹達共同開発、特定作物向け | チオファネート メチル 70% | イチゴなど特化使用あり |
住友化学園芸株式会社 | トップジンMゾル | 家庭園芸用液剤 タイプ | チオファネート メチル 40% | 液剤で使いやすい |
使用薬剤のローテーション
同じ薬剤ばかり繰り返し使うと、病原菌が薬剤に耐性を持ってしまうことがあります。
必ずラベルや園芸店の指導を参考に、薬剤をローテーションして使用することが大切です。
ダコニール1000とトップジンMの使い分けまとめ
薬剤名 | 主な効果 | 使用タイミング |
---|---|---|
ダコニール1000 | 予防効果 | 発病前、定期的散布 |
トップジンM(水和剤) | 予防+治療効果 | 発病後、初期の治療・予防 |
いろはに農園でも、まずダコニール1000を散布しましたが、すでに症状が出ていたため十分な効果は得られませんでした。
その後トップジンM(水和剤)を使用して症状を抑えることができ、スイカの苗も元気を取り戻しました。
まとめ
炭疽病は特に梅雨時期から夏にかけて発生しやすい病気です。
「予防」と「治療」をしっかり分けて対策を行うことが、野菜を元気に育てるコツです。
- 予防には風通しを良くする・水やりの工夫・ダコニール1000
- 治療には病斑の除去・トップジンM(水和剤)の使用
を意識して、ぜひ炭疽病から大切な野菜を守ってあげてくださいね。