ジャガイモの表面にブツブツ…それって病気?食べれるの

こんにちは。いろはにファームのいろはです。
ジャガイモの収穫をしました。土の中からコロコロと出てくる姿には毎年ワクワクさせられますよね。
いろはに農園で掘り上げたジャガイモの表面に、ゴツゴツとしたかさぶたのような模様が出ていたんです。
「これって病気?」「食べても大丈夫?」と心配になり、調べてみると――
これは**「そうか病」**という土壌由来の病気でした。
見た目は驚きますが、きちんと対策すれば心配はいりません。
この記事では、そうか病の特徴や予防法を、やさしくご紹介します。
ジャガイモのそうか病とは?
「そうか病(疣状痂〈いぼじょうかさぶた〉病)」は、ジャガイモの表面にざらざらとしたかさぶたのような病斑ができる病気です。
病原菌は放線菌(Streptomyces scabies)と呼ばれる土壌中の微生物で、特に乾燥したアルカリ性の土壌を好みます。
病気になると見た目が悪くなってしまうため、家庭菜園でがんばって育てた身としてはとてもショックですよね。
症状の特徴

- ジャガイモの表面に茶色〜黒っぽいかさぶた状の病斑ができる
- 病斑は円形で、中央が盛り上がることもある
- 表面だけに症状が出るため、内部まで腐ることはまれ
そうか病の主な原因
そうか病は、特定の条件がそろうことで発症しやすくなります。以下のような環境要因や管理のしかたが影響します。
土壌のpH(アルカリ性)
- pHが6.0以上のアルカリ性の土壌では、病原菌が活発になります。
- 石灰を入れすぎた畑や、石灰資材の種類によってはリスクが高まります。
土壌が乾燥している
- 発芽〜塊茎形成期に土が乾燥していると、菌が活動しやすくなります。
- 梅雨入り前の乾燥期や、雨が少ない時期は特に注意。
同じ場所での連作
- ジャガイモやサツマイモなどナス科やヒルガオ科の作物を連作すると、病原菌が土壌中に残りやすくなります。
感染源となるタネイモや堆肥
- すでに病原菌がついているタネイモや完熟していない堆肥も原因になります。
そうか病を予防するための対策
では、どうしたらこのそうか病を防ぐことができるのでしょうか。確実性の高い方法を丁寧にご紹介します。
pHを6.0未満に保つ
- ジャガイモの適正pHは5.2〜6.0です。家庭菜園では石灰を入れることが多いですが、過剰な施用は避けましょう。
- 石灰を入れる場合は、酸度調整済みのタネイモを使う年だけにするなど調整を。
補足:土壌pHの調べ方
- ホームセンターで購入できる土壌酸度計やpH試験紙を使えば簡単に確認できます。
十分な水やりで土壌を乾かさない
- 特に**発芽期から塊茎形成期(植え付け後2〜6週間)**にかけては、土が乾燥しないように注意します。
- 水はけのよい土でも、表面が乾きすぎないようマルチや敷きわらで保湿をすると◎。
連作を避ける(4年あける)
- 同じ場所に3〜4年間はジャガイモ・サツマイモを植えないようにしましょう。
- 土壌中に残った病原菌の密度を減らすために、**輪作(作付けを変える)**がとても有効です。
抵抗性品種のタネイモを選ぶ
- 近年はそうか病に強い品種も販売されています。
- 例えば、「トヨシロ」や「キタアカリ」の中には比較的抵抗性をもつ系統もあります。
これまでタネイモに男爵(ダンシャク)を選んで育ててきましたが、
次回のジャガイモ栽培では、そうか病に比較的強い「キタアカリ」に挑戦してみようと思います。


病気の少ない畑や培養土で育てる
- 初心者の方は、**市販のジャガイモ用の培養土(pH調整済み)**を使うのも安心です。
- 土壌消毒までは必要ありませんが、完熟した堆肥や腐葉土を使うよう心がけましょう。
そうか病が出た後の対応と来年への備え
今年のように、そうか病が出てしまった場合は、来年以降の栽培で同じ失敗をしないようにすることが大切です。
▷ 感染したイモの扱い
- 食べることはできますが、できるだけ皮を厚くむいて加熱調理しましょう。
- 来年のタネイモとしては使わないようにしてください。
▷ 土壌改良のすすめ
- 収穫後、秋〜冬にかけて、完熟堆肥や米ぬかをすき込んで土壌の微生物バランスを整えましょう。
- 緑肥作物(ヘアリーベッチ、クロタラリアなど)を育ててからすき込むのも効果的です。
▷ 家庭菜園ならではの工夫
- プランター栽培に切り替えることで、清潔な土を毎年使うという選択肢もあります。
- 限られたスペースでも、栽培場所をローテーションする工夫ができます。
そうか病対策につながる「ジャガイモ後作」の工夫
▷ 緑肥(りょくひ)植物を育てて、土壌環境を整える
緑肥とは、作物として収穫せず、途中で土にすき込むことで土を肥やす植物のことです。
そうか病対策としては、以下の植物がおすすめです:
■ ヘアリーベッチ
- マメ科の緑肥で、根に共生する根粒菌が土壌中の有機物と微生物を増やす効果があります。
- 土壌pHを少し下げる傾向があり、放線菌の抑制につながります。
■ クロタラリア
- ネコブセンチュウ対策にも有効な緑肥。
- 菌のバランス改善に役立ち、土壌病害の予防にも効果が期待できます。
▷ 植え替え野菜を工夫して、病原菌を抑える
後作に特定の野菜を植えることで、土壌中の病原菌密度を減らす効果もあります。
■ エダマメ・インゲンなどマメ科野菜
- 病原菌の増殖を抑えると言われるマメ科は、微生物環境を穏やかに保つのに効果的です。
- ただし、完熟堆肥とあわせて使うことが重要。
■ コマツナ・ホウレンソウなどの葉物野菜
- 葉物野菜は病原菌の宿主になりにくく、土壌を休ませる意味でも有効な後作です。
- コンパクトに育てられるので、家庭菜園向きです。
▷ 夏の間、何も植えず「太陽熱消毒」する
7〜8月の高温期に畝を透明ビニールで覆って、太陽の熱で土壌を消毒する方法です。
- 土壌温度を50℃以上に上げることで、病原菌やセンチュウをある程度死滅させることが可能です。
- 湿った状態の土にビニールをぴったり密着させて、2〜3週間ほど放置するのが理想です。
まとめ
ジャガイモのそうか病は、見た目が大きく損なわれるため、ショックが大きい病気のひとつです。けれど、原因と発症条件が明確になっているぶん、予防と対策を講じやすい病気でもあります。
家庭菜園では、ひとつひとつの失敗やトラブルから学ぶことが多く、次の栽培に活かすことができます。今回の失敗をきっかけに、より良いジャガイモ作りにつなげていきたいですね。
「来年こそはツルツルのジャガイモを収穫したい!」という想いを胸に、これからも一緒に家庭菜園を楽しんでまいりましょう。