家庭菜園でもできる!サツマイモのキュアリングと保管方法
〜いろはに農園の「発泡スチロール+もみ殻」冬越し術〜
秋の収穫が終わったら、次は“冬越し”の準備! せっかく育てたサツマイモ、甘みを引き出して長く楽しむには、ちょっとした工夫が必要なんです。
この記事では、家庭菜園でもできる「キュアリング(追熟処理)」と「冬の保管方法」を、いろはに農園の実践例を交えてご紹介します。
発泡スチロールと、もみ殻という身近な素材を使った保存術で、寒い季節も美味しいサツマイモを楽しみましょう!
サツマイモの収穫ポイント
家庭菜園で育てたサツマイモを甘く、長く保存するためには「掘り方」と「収穫時期」がとても大切です。
いろはに農園でも、収穫の段階で丁寧に扱うことを心がけています。
収穫のタイミング
サツマイモの収穫期は、ツルが黄変し、葉が枯れ始める頃が目安です。
早すぎると芋が未熟で甘みが足りず、遅すぎると寒さや害虫の影響を受けやすくなります。
家庭菜園では、初霜が降りる1〜2週間前を目安に収穫を済ませておくと安全です。
晴れが続いた日を選び、地温が20℃以上ある日中に収穫するのが理想的。
掘り上げ時の注意点
サツマイモは皮が非常に薄く、ちょっとした衝撃でも傷が付きます。
掘り上げ後は風通しの良い日陰で半日〜1日ほど乾かし、表面の土を軽く払います。
サツマイモの選別
掘り上げたサツマイモを並べてみると、色や形、太さが少しずつ違っています。
この「選別」のひと手間が、冬まで美味しく保存できるかどうかの分かれ道です。
深い傷のある芋

表面にスコップ傷や割れがあるものは、長期保存には不向きです。
時間が経つと傷口から傷みやすくなるため、早めに調理して使い切りましょう。
軽い擦り傷の芋

表面の皮が少し擦れている程度なら、キュアリング(追熟処理)によって自然に表面がふさがります。
この段階でしっかり乾かすことで、冬までしっかり保存できる“丈夫な芋”に育ちます。
中くらいの太い芋が保存に最適

ほどよいサイズで形の整った芋は、貯蔵に最も適した理想の子です。
見た目だけでなく、水分量や組織のしっかりさも保存に向いています。
冬越し用として大切に扱いましょう。
キュアリング(追熟処理)
掘り上げたばかりのサツマイモは、呼吸が盛んで水分も多く、保存に適していません。
このために行うのが「キュアリング(治癒・追熟)」です。
キュアリングの目的
キュアリングを行うことで、以下の2つの効果が得られます。
- 傷口をふさぎ、腐敗を防ぐ
芋の表皮にコルク状の層が形成され、菌の侵入を防ぎます。 - でんぷんが糖に変化し、甘みが増す
追熟によって「ほっくり甘い」食感に変わります。
家庭菜園でのやり方
大掛かりな設備がなくても、段ボールや衣装ケースを使って簡易的にできます。
手順
- 収穫後、芋を日陰で半日~1日乾かす。
- 段ボールや発泡スチロール箱などに新聞紙を敷き、芋を重ならないように並べる。
- その上に布や新聞を軽くかけて保温。
- 温度30〜33℃、湿度85〜90%の環境を4〜7日間維持します。
家庭では浴室や押し入れ近くなど、20〜25℃+毛布・カイロなどで温度を補助してもOK。
湿度を保つには、箱の中に濡れタオルを軽く絞って入れると効果的です。
キュアリングの注意点
- 温度が35℃を超えると過熟になり、品質が低下します。
- 湿度が高すぎるとカビが発生しやすくなるため、時々フタを開けて換気を。
- キュアリングが終わった芋は、すぐに冷やさず、ゆっくり室温に戻してから保管に移します。
サツマイモの保管方法(発泡スチロール+もみ殻)
いろはに農園でも実践しているのが、発泡スチロール箱ともみ殻を使った保管法。
冬の寒さから芋をやさしく守り、春先まで美味しさを保ってくれます。
保存に理想的な環境
- 温度:13〜14℃
- 湿度:85〜90%
- 通気性:あり(完全密閉はNG)
これより冷えると低温障害で黒変し、暖かすぎると芽が出やすくなります。
冬場の室内や物置でも、凍らない・暖まりすぎない場所を選びましょう。
発泡スチロール+もみ殻保管の手順
いろはに農園では、倉庫での保存を行っています。
冬の冷え込みが厳しいため、発泡スチロール箱ともみ殻、そして新聞紙を組み合わせて保温性を高めています。

やさしく温度を保ち、湿度を一定に保つクッションの役割をします。
直接もみ殻に触れないようにすることで、乾燥と湿気の両方を防ぎます。
新聞紙は保温と調湿のバランスが良く、芋の“寝床”として最適です。

もみ殻が優しく包み込み、温度変化をやわらげてくれます。

ふんわりと、空気の層を残すのがポイントです。

サツマイモは呼吸しているため、完全密閉は避けましょう。
凍らず、急激に暖まらない環境が理想です。
もみ殻は、湿度をやさしく保ちながら温度を安定させる天然の保温材。
新聞紙を組み合わせることで、芋の呼吸を妨げずに保温性をさらにアップできます。
保存中のチェック
1か月に1度は箱を開けて点検します。
- 芋の表面が湿っていないか
- カビ臭や異臭がしないか
- 芽が出ていないか
異常がある芋は早めに取り出して、ほかの芋への影響を防ぎましょう。
環境が安定していれば、翌年の3月ごろまでしっとり甘い状態をキープできます。
まとめ
家庭菜園でのサツマイモ保存は、
①収穫時の丁寧な扱い → ②キュアリング → ③発泡スチロール+もみ殻保管
この流れを守ることで、長く美味しい芋を楽しむことができます。
自然の力を借りて、いろはに農園ならではの“ぬくもりのある冬越し”をお楽しみください。
お子さんと一緒に箱を開けたとき、ふわりと香る甘い匂いは、畑の思い出そのものです。
