【初心者でも安心!家庭菜園で楽しむ】サツマイモ栽培ガイド

今回は、甘くてホクホクの食感が魅力の「サツマイモ」栽培を、初心者の方でも安心して楽しめるようにご紹介します。
私も、娘と一緒におばあちゃんの畑でサツマイモを育てており、
収穫時期になると土の中からゴロゴロと顔を出すサツマイモに家族みんなで大喜びしています。
そんな楽しい収穫を、ぜひ皆さんにも味わってほしいです。
サツマイモの基本情報
サツマイモってどんな野菜?
- 科目:ヒルガオ科サツマイモ属
- 栽培方法:さし苗(種芋から伸びたツルを切って植える)
- 生育適温:25〜30℃
- 適正pH:5.5〜6.0
- 連作障害:基本的に出にくいが、基腐病の発生が確認された場合は連作を避ける
サツマイモは高温や乾燥に強く、やせた土地でもよく育つ丈夫な野菜です。肥料の与えすぎは「つるボケ」の原因となるため、控えめにしましょう。
品種選び:おすすめのサツマイモ
品種名 | 食感 | おすすめ料理 | 特徴・詳細説明 |
---|---|---|---|
安納芋 | ねっとり系 | 焼き芋 | 蜜芋として有名な品種。 焼き芋にすると極上のしっとり感を楽しめます。 |
鳴門金時 | ホクホク系 | 焼き芋、天ぷら | ホクホクとした食感が特徴で、焼き芋にすると甘みが引き立ちます。天ぷらにも最適です。 |
ベニアズマ | ホクホク系 | 焼き芋、天ぷら | ホクホク食感で、加熱調理に向いており、特に焼き芋や天ぷらに適しています。 |
ベニハルカ | しっとり系 | 焼き芋、干し芋 | 収穫後に数ヶ月貯蔵すると甘みが大幅に増し、干し芋に加工すると特に美味しくなります。 |
シルクスイート | ねっとり系 | 焼き芋 | ねっとりとした口当たりで、焼き芋にするとしっとりなめらかな味わいが楽しめます。 |

いろはに農園では毎年欠かさず、ベニハルカを栽培しています。
冬場に焚火だ行う焼き芋がとってもおいしくてとてもオススメですよ。
栽培時期と栽培スケジュール
サツマイモの植え付け時期
サツマイモの苗は例年ゴールデンウィーク明け(5月上旬~中旬)頃からホームセンターや種苗店に並び始めます。この時期に苗を購入し、植え付けるのがもっとも適しています。
なぜこの時期が良いかというと、以下の理由があります。
- 霜の心配がなくなる
:4月下旬までは夜間に霜が降りる可能性があり、霜があると苗が傷みやすいです。5月に入ると霜のリスクがほぼなくなるため、安心して植え付けられます。 - 地温が安定して上昇する
:サツマイモは地温が15℃以上になると根の成長が活発になります。5月の気温は昼夜ともに温かくなり、苗の活着が良くなります。 - 成長期間がしっかり取れる
:5月中旬から植え付けることで、9月~10月の収穫時期まで十分な成長期間が確保でき、イモが大きく育ちやすくなります。
植え付けは、ゴールデンウィークが明けてから梅雨入り前の6月中旬までの間に行うのがベストです。特に、5月中旬頃に植えると苗の活着もよく、生育も安定します。
もし早めに苗を購入した場合でも、畑の地温が低い時期に無理に植え付けると根付きが悪くなってしまうので、気温や地温を見てから植えるのが大切です。
栽培スケジュール
栽培スケジュールは以下の通りです。
- 植え付け:5月中旬〜6月上旬
- 収穫:10月上旬〜11月上旬(霜が降りる前に収穫を終える)
サツマイモの育て方ステップ
土づくりのコツ
植え付けの2〜3週間前から土づくりを始めます。
- 石灰の施用:土壌のpHを5.5〜6.0に調整するため、苦土石灰を施します。
- 堆肥の施用:完熟堆肥を施し、土壌の通気性と排水性を高めます。未熟な堆肥は害虫の発生原因となるため避けましょう。
- 元肥の施用:窒素分を控えめにし、カリウムを多めに含む肥料を施します。
高畝(20〜30cm)を作り、マルチシートを張ることで雑草防除や地温の確保ができます。
植え付け
サツマイモは「さし苗」で栽培します。苗は茎が太く、葉が7〜8枚ついたものを選びましょう。
- 斜め植え:一般的な方法で、活着が良好です。
- 垂直植え:イモの数は少ないが大きく育ちます。
- 水平植え:イモの数は多いがサイズは小さめです。
- 舟底植え:乾燥や寒さに強く、水平植えよりも安定します。
植え付け後、土が乾燥している場合はたっぷりと水を与えます。
水やりと管理
サツマイモは乾燥に強いため、過度な水やりは不要です。ただし、植え付け直後や極端に乾燥している場合は適宜水を与えましょう。
また、ツルが地面に根を張ると養分が分散し、イモの肥大が妨げられます。これを防ぐために「つる返し」を行い、ツルを持ち上げて根を切り、葉の上に乗せておきます。
追肥のタイミング
基本的に追肥は不要ですが、葉色が薄くなった場合は畝の肩に少量の追肥を施します。窒素分の過剰は「つるボケ」の原因となるため注意が必要です。
収穫と保存方法
植え付けから約120〜140日後が収穫の目安です。収穫は晴天が続いた日に行い、イモを傷つけないよう注意しましょう。
収穫後はイモを洗わず、風通しの良い場所で2〜3日乾燥させます。その後、14℃前後、湿度85〜90%の環境で1ヶ月ほど追熟させると甘みが増します。家庭では新聞紙に包み、発泡スチロールの箱に入れて冷暗所で保管すると良いでしょう。
よくあるトラブルとその対策
サツマイモは比較的育てやすいお野菜ですが、栽培中にいくつかのトラブルが起こることがあります。早めに対処すれば大きな被害を防げますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
つるボケ(ツルばかり育ってイモが太らない)
肥料をたくさん与えすぎると、葉やツルが元気に伸びてしまい、肝心のイモが太らなくなることがあります。これは「つるボケ」と呼ばれ、窒素分が多すぎることが主な原因です。
肥料は控えめに、特に追肥のタイミングには注意しましょう。**「少なめくらいがちょうど良い」**のがサツマイモ栽培のコツです。
基腐病(もとぐされびょう)
株元が褐色になり、茎葉がしおれてしまう基腐病は、土壌病害のひとつで、一度発生すると広がりやすい厄介な病気です。
対策としては、
- 連作を避ける(3〜4年空ける)
- 健全な苗を使用する
- 畝を高くして排水を良くする
などの方法が有効です。
害虫による被害
とくに気をつけたいのが、コガネムシの幼虫やセンチュウ類によるイモの食害です。掘ってみたらイモに穴が…という悲しいことにならないように、次の対策を心がけましょう。
- 完熟した堆肥を使う
- 植え付け前に土壌をよく耕し、太陽熱での消毒も検討する
- 連作を避ける
健全な土づくりが、病害虫のリスクを減らす第一歩です。
サツマイモ収穫の見極めと上手な保存方法
収穫の見極め方
植え付けから約4〜5ヶ月後が収穫の目安です。ツルが黄色くなりはじめたら、収穫のサイン。雨が降ったあとは避け、晴れた日に掘り起こすのが理想的です。
スコップでやさしく掘り返し、イモが傷つかないように気をつけましょう。
サツマイモの保存方法
収穫後すぐのイモは、実は甘みがまだ少ない状態です。1〜2週間ほど風通しの良い場所で乾かし、「追熟」させることで甘みが増します。
【保存方法のコツ】
- 新聞紙に包み、発泡スチロールの箱に入れる
- 冷蔵庫はNG(低温障害になるため)
- もみ殻に埋めて保管する方法もおすすめ
温度は15℃前後が理想。冬場は室内の廊下や押し入れが適しています。
初心者さんへのアドバイス
肥料は少なめがちょうどいい
ついつい「よく育つように」とたくさん肥料をあげたくなりますが、サツマイモに関しては逆効果。栄養を与えすぎず、土の力を活かすことが大切です。
家庭菜園の楽しみ方を見つける
大きさや形は多少バラついても、自分で育てたサツマイモは、やっぱり特別な美味しさがあります。お子さんやご家族と一緒に苗を植え、水をあげて、収穫まで見守る時間は、かけがえのない思い出になります。
収穫のあとは、土のついたイモを洗って、お庭や畑のすみで焼き芋にするのもおすすめ。落ち葉を集めて焚き火をしたり、バーベキューコンロを使ったりして、アツアツの焼き芋をほおばれば、自然の甘さに思わず笑顔がこぼれます。
「自分で育てて、自分で食べる」──そんな体験は、お子さんにとっても貴重な学びになりますし、大人にとっても心あたたまるひとときになります。育てる楽しみ、味わうよろこびを、家庭菜園でじっくり味わってみてくださいね。
まとめ|自然の恵みに感謝して
サツマイモは手がかからず、家庭菜園初心者さんにも育てやすいお野菜です。ただし、肥料の加減やつる返しのタイミング、土づくりなど、いくつかのポイントを押さえることで、ぐっと立派なおイモが育ちます。
収穫のあとは丁寧に保存し、秋の味覚を長く楽しみましょう。蒸かしてよし、焼いてよし。自然の甘さがぎゅっと詰まったサツマイモは、家族の食卓にも笑顔を運んでくれます。
いろはにのひとこと
今年も、娘と一緒に「ベニハルカ」と「シルクスウィート」の苗を植えました。まだ小さな手でそっと苗を植える姿は、毎年の春の楽しみです。
秋になれば、家族で土を掘り返して、まるまると育ったおイモを見つける収穫祭。土の香り、重さ、感触……どれも忘れがたい思い出になります。
これからも、自然のリズムに寄り添いながら、家族で小さな畑を楽しんでいけたらと思います。