接ぎ木苗のトラブル ~スイカなのにカボチャが生えた!?~

いろはに農園では、今年スイカの接ぎ木苗を購入し、畑へ植え付けました。
接ぎ木苗は、病気に強く元気に育つ反面、時に「台木」が主役になってしまうトラブルがあります。
今回は、スイカの接ぎ木部分からカボチャの葉が生えてきてしまった体験談と、その後の対応について詳しくお伝えします。
接ぎ木苗とは?
接ぎ木苗は、土壌病害や連作障害に強い台木(根っこ側)と、実際に収穫したい作物(穂木:今回はスイカ)を接合して作ります。
スイカの台木には、ユウガオ、トウガン、カボチャなどが使われることが多く、特にカボチャ台木は耐病性・生育力が優れているため、初心者にも安心だと言われています。
しかし、育てていると、スイカの穂木ではなく、台木(カボチャ)の芽が伸びてくることがあるのです。これは、接ぎ木部分の管理不足や深植えが原因になることが多いです。
台芽が吹きやすい野菜(接ぎ木苗を使う場合)
スイカ
特徴と接ぎ木の目的
スイカは連作障害やつる割れ病、青枯病などに弱いため、台木にカボチャやユウガオを使って接ぎ木することが多いです。台木の丈夫な根で病気に強く育てることができます。
台芽のリスクと見分け方
スイカの接ぎ木苗も、今回のトラブルのように台木(カボチャやユウガオ)の芽が根元や接合部分から出てくることがあります。
- スイカの葉は深い切れ込みがあり、薄く柔らかい質感。
- カボチャやユウガオの葉は切れ込みが浅く、厚みがあります。
- 葉の形や質感、茎の色で見分けがつきやすいです。
対策
台芽を放置すると台木の生長に栄養が奪われ、穂木(スイカ)の成長が遅れて実つきが悪くなります。
定期的に株元と接合部分をチェックし、台芽を見つけたら早めに摘み取るようにしましょう。
メロン
特徴と接ぎ木の目的
メロンは連作障害や病気(特にウリ科特有の病害)を防ぐため、接ぎ木苗を使うことが一般的です。台木にはカボチャやユウガオが多く使われ、強い根張りや病気への抵抗力を活かして健全に育てます。
台芽のリスクと見分け方
メロンの接ぎ木苗は、接合部分(接ぎ木テープで巻かれたあたり)から台木(カボチャなど)の芽(台芽)が出やすいです。台芽は葉の形や茎の色味が穂木(メロン)と違うため、注意深く観察すれば見分けられます。
- メロンの葉は切れ込みが深く、丸みを帯びています。
- カボチャの葉は大きく、切れ込みが浅い場合が多く、質感も厚めです。
対策
台芽は早めに摘み取ることが大切です。台芽を放置すると、栄養が台木側に取られてしまい、穂木(メロン)の成長が遅れたり、実つきが悪くなることがあります。根元や接合部分を定期的に確認しましょう。
ナス
特徴と接ぎ木の目的
ナスは連作障害や青枯病、半身萎凋病などの病害を防ぐため、接ぎ木苗が利用されます。台木としては同じナス科植物(トマトやナスなど)が用いられることが多いです。
台芽のリスクと見分け方
ナス科同士なので、穂木と台木の葉の形が似ている場合もあり、台芽の見分けが少し難しいです。
- 穂木(ナス)は丸みがありツヤがある葉が多いです。
- 台木(ナス科でも別種)は葉の色や形が微妙に異なる場合があるので、慣れるまでは少し見分けにくいかもしれません。
対策
定期的に株元や接合部分をチェックし、台芽を見つけたら早めに取り除きます。特にナス科は台芽が旺盛に伸びることがあるので、気づいたときにすぐ取るのが安心です。
トマト
特徴と接ぎ木の目的
トマトも青枯病や半身萎凋病の予防、また土壌病害回避のために接ぎ木苗が多用されます。台木にはトマトやナス科の野生種(強健種)が使われます。
台芽のリスクと見分け方
トマトの場合も穂木と台木が同じナス科の植物であるため、見た目が似ていますが、台芽の葉がやや細長かったり、色が薄い場合があります。また、台芽の成長速度が異なる場合もありますので、接合部分付近から出ている芽を中心に確認しましょう。
対策
台芽は株元から伸びることが多いので、伸びる前の段階で摘み取るのがベストです。放置すると穂木(トマト)側の養分が減り、生育や実つきに影響することがあります。
いろはに農園で起きた台木の芽吹き

スイカの苗を植え付けてしばらく経ち、つるが伸び始めた頃、接ぎ木部分から見慣れない葉が出てきました。よく見ると、スイカの葉ではなく、丸みを帯びたカボチャの葉でした。
このまま放置すると、台木の芽がどんどん育ってしまい、スイカへの栄養が取られてしまいます。
最悪の場合、台木の方が旺盛に育ちすぎてしまい、スイカの実が付かないという事態にもなりかねません。
いろはに農園で実践した対応
台木の芽はすぐに摘み取る
カボチャの芽を見つけたら、すぐに摘み取りました。台木の芽は成長が早く、一度伸びると株元の養分をどんどん吸い上げてしまいます。そのままにしておくと、スイカのつるや実の成長が遅れたり、最悪の場合スイカが枯れてしまうことも。
芽の根元を指でつまんでポキっと折るように摘み取りました。
摘み取りの手順
摘み取った後のケア
芽を摘み取った部分は傷口になっています。そこから雑菌が入ると病気になるリスクがあるため、木工用ボンド(透明タイプ)を薄く塗っておきました。
木工用ボンドは乾くと防水・防菌の役割を果たしてくれるので、家庭菜園では簡易的な癒合剤として使えるんです。
市販のトップジンMペーストなどの園芸用癒合剤でもOKです。

いろはに農園ではスイカの炭疽病対策も兼ねて、トップジンMを塗っておきました。
定植時の深植えを防ぐ
今回のトラブルは、苗をやや深めに植え付けてしまったのも一因でした。
接ぎ木の部分(接合部)が土に埋まると、台木から新しい芽が出やすくなってしまいます。
今後は接合部が土の上にしっかり出るように、浅植えを心がけます。
地温や風でグラつくときは、マルチで周囲を保温しながら支柱でしっかり固定すれば問題ありません。
最後に
接ぎ木苗は病気に強くてとても便利ですが、台木の芽吹きという思わぬトラブルも起こります。
大事なのは「芽を見つけたら即摘み取ること」と「深植えにしないこと」です。
これからもいろはに農園では、この経験を糧に、より良い家庭菜園ライフを楽しんでいきます。
同じようなトラブルにお困りの方は、ぜひこの対策を参考にしてみてくださいね。